キャラクターを動かすアニメーションの設定方法を説明していきます。
キャラクター・アニメーション制作する方法も基本的にはキーフレーム設定を使いますが、オブジェクトそのものに設定しません。キーフレームを設定するのはアーマチュア(Armature)というものにします。
アーマチュアは以下のような形をしており、下図のアーマチュアは3つのボーンから構成されています。これをキャラクターに適用して、ボーンの動きに対しキーフレームを設定していくのがキャラクター・アニメーションの設定となります。
このアーマチュアのことをリグ(Rig)と言う場合もあります(むしろ、そっちの方が多い)。そして、ボーンを組み立ていく作業をリギング(Rigging)と言います。これをキャラクターに対応させていくことをスキニング(Skinning)といいます。
では、前回の続きから始めて、設定方法を順を追って説明していきます。
(補足:なお、ここで説明する方法の他に一般的な方法として、ボーンを体の片側だけ先に作って、それを複製、ミラーで反対側に配置する方法もあります。この方法はボーンをマニピュレータやビュー上で動かすときには特に問題はないですが、ボーンの角度を数値を使って動かしたり制限したりするときには、腕の部分のボーンの座標軸の向きが異なることと、ボーンのロール軸にオフセットがのるので注意が必要です。知ってて使う分には問題ないです。)
Step 1
現在のフレームを1フレーム目にします。テンキーの「1」キーで正面のビューにします。トミー君を選択し、「Shift」+「S」キーを押し、「カーソル→選択物」を選択します。これでトミー君のオブジェクト中心に3Dカーソルを置くことができました。
Step 2
「Shift」+「A」キーを押し、「アーマチュア」、「一つのボーン」を選択します。
[GARD]
Step 3
プロパティ・エディターの「オブジェクトデータ」タブを開きます(人型の図柄のボタン)。そして、「表示(Display)」パネルの「名前(Names)」、「座標軸(Axes)」、「レントゲン(X-Ray)」にチェックを入れます。これは、ボーンひとつひとつに付いている名前と座標軸の向きを3Dビュー上に表示し、「レントゲン」は常にアーマチュアが前面に表示されるようにする設定です。
Step 4
「Tab」キーでアーマチュアの編集モードに入り、「A」キーでボーンを選択します(2回押すと全選択になるはず)。「G」キー、「Z」キーで図のように上へ移動させます。
Step 5
ボーンの先端の丸い部分を選択します。この部分をボーンのヘッドといいます。
Step 6
「G」キー、「Z」キーで先端部分を下に下げ、先端が腰ぐらいに来るようにします。
Step 7
「E」キーを押すと、ボーンを押し出すことができます。「E」キーと「Z」キーで図のように上へボーンを押し出します。
Step 8
もう一度繰り返し、首の下辺りまでボーンを押し出します。
Step 9
更に2回繰り返して、首の部分と頭の部分にボーンを配置します。
Step 10
ボーンの名前を変えます。リギングにおいて、ボーンの名前付けは重要なので必ず行います。
頭の部分のボーンの胴体部分(大きな三角部分)を選択します。プロパティ・エディターの「ボーン」タブを開きます。そして、一番上に表示されているテキストボックス内に”Head”と入力します。同様にして、首からお尻の部分のボーンまで名前を「Neck」、「Chest」、「Stomach」、「Hip」と入力します。
Step 11
Chestボーンのヘッドを選択します。そして、ツール・シェルフの「オプション」タブにある「X軸ミラー(X-Axis Mirror)」にチェックを入れます。
Step 12
「Shift」+「E」キー、「X」キーを押し、新ボーンをX軸方向に押し出します。このとき、X軸ミラー機能が働いているので、両側にボーンが出てきます。
Step 13
右側のボーンの名前を「Shoulder_L」に変更します。名前を変えた後に「W」キーを押し、「対称化」を選択すると反対側のボーンの名称がArm_Rになります。その後は、Step 16にすすんでください。
Step 14
(古い記述のため削除)
Step 15
(古い記述のため削除)
Step 16
プロパティ・エディターの「ボーン」タブに表示されている「関係(Relations)」パネルで、「接続(Connected)」のチェックを外します。これはボーン間の接続を解除しています。現在選択しているボーンは「関係」パネルの「親」の部分にあるようにChestボーンの子供になっています。そして、連結している状態でしたが、連結を解除しました。(連結とは何かは、接続をオン/オフにしてボーンを動かしてみれば分かります)。接続を解除してもChestボーンとの親-子関係は「親」プロパティをクリアにしない限り変更されません。
Step 17
反対側のShoulder_Lボーンを選択し、こちらの「接続」も解除します。
Step 18
Shoulder_Lボーンを「G」キーで図のように移動させます。「R」キーで少し傾けます。「接続」が解除されているので、ボーンを親から離して配置することができます。このキャラクターの腕の位置がちょっと下なので、このような位置になっていますが、自分のキャラクターで行うときはボーンのヘッドが腕の付け根に来ればいいので、ここまで下げることはないかもしれません。
Step 19
「E」キーを押して、新たなボーンを肘の部分まで伸ばします。X軸ミラーのおかげで、反対側も同じように伸びます。なお、ここでやったようにボーンの先端を選択しなくても、ボーンの胴体部分を選択していれば、ボーンを伸ばすことができます。
Step 20
これを2回繰り返し、手の先までボーンを追加します。
下図は上から見たところです。今回はボーンと腕の位置が上手く合っていますが、自分で作成したキャラクターにボーンを組み込むときは、上からも見て、ボーンの位置を調整しましょう。
Step 21
左腕の上腕のボーンを選択します(ボーン名がShoulder_L.001のはず)。ボーンの名前をArm_upper_Lにします。
Step 22
Arm_upper_Lを反対側(右側)のボーンにコピペします。ボーンの名前がArm_upper_L.001になります。
Step 23
また左側に戻り、下腕のボーンの名前をArm_lower_Lにします。これも反対側のボーン名にコピペします。
Step 24
手の部分のボーン名をHand_Lにし、反対側にもコピペします。
Step 25
右側のペーストした名前をまだ変えていない3つのボーン(Arm_upper_L.001、Arm_lower_L.001、Hand_L.001)を選択し、「W」キーを押して「ボーン名反転」を選択します。この機能は複数のボーンを選択していても使うことができます。
Step 26
Hipボーンを選択します。「Shift」+「E」キーで横方向にボーンを押し出します。
Step 27
両方のボーンに対し、「 関係」パネルにある「接続」を解除します。そして、移動と回転をして図のように配置します。
Step 28
ここで、3Dビューで2つのボーンの座標軸の向きを見ると、異なっていることが分かります(足が曲がる向きが同じなので座標軸は同じにした方がいいです。座標軸が揃っていないことを分かっていて使う場合は変更しなくてもいいですが)。プロパティ・エディターの「トランスフォーム(Transform)」パネルにある「ロール(Roll)」の値を0にします。片方に0を変更すると、X軸ミラーにより両方が同じ方向に向きます。
Step 29
テンキーの「3」キーを押し、「E」キー、「Z」キーで下へ押し出します。図のようにかかとの位置に配置します。
Step 30
再度、「E」キー、「Z」キーを押して下方向にボーンを押し出します。図のような位置で一度マウス左ボタンで配置します。そしてから、足の甲の部分へ「G」キーで移動させます。このように2段階にしているのは、「E」キーで押し出す方向によりボーンの先端に表示されている座標軸の向きが異なるためです。
Step 31
再度、「E」キー、「Z」キーを押して、一度下に押し出し位置を確定してから、「G」キーでつま先にボーンを配置します。
図のようなボーンが完成します。座標軸の向きも一致しています。
Step 32
後は名前の付け替えです。左足のボーンの上から、Leg_upper_L、Leg_lower_L、Foot_L、Toe_Lと名前を付けます。腕のところで行ったように名前を右足にコピペし、最後に「W」キーの「ボーン名反転」を実行します。
お疲れ様でした。以上でリグは完成です。次回はこのリグをトミー君に適用する方法を説明します。なお、ここで紹介したボーンの構成は基本的なものです。ボーンコンストレイントという機能を使って、より高度なボーンの構成を作ることができます。用途に応じて組み立てます。ボーンコンストレイント機能はここでは説明しません。「Blender2.6マスターブック」に書きましたので、そちらを参照してください。