Blender入門#32:アニメーションの基本

Blender
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今回よりアニメーション関連の説明をしていきます。

まずは、アニメーションの基本です。CGでアニメーション(動画)を作る仕組みは、静止画の集まりを束ねて動画にしているだけです。この静止画1枚1枚が1フレームという単位になっています。現実世界のアニメーションのように1秒当たり何コマなのか設定します。Blenderではコマではなく、フレームが単位なので、1秒当たり何フレームの画像が表示されるのか設定します。

その設定を行うのが、プロパティ・エディターの「レンダー」タブにある「寸法(Dimensions)」パネルです。下図に示す部分の「フレームレート(Frame Rate)」で設定します。デフォルトでは、24fpsとなっているので、1秒間に24フレームとなります。fpsは、frames per secondの略です。

フレーム設定

 

[GARD]

 

フレームレートの上にある「開始フレーム(Start Frame)」、「最終フレーム(End Frame)」がアニメーションの長さを設定するところになります。例えば、24fpsの場合、1分間のアニメーションを作りたい場合は、24×1(分)×60(秒)=1440フレームとなり、開始フレームを1フレーム目とした場合、最終フレームは1440と設定しないと1分間になりません。

1440フレームは1440枚の静止画をレンダリングすることになるので、処理が重くなる設定をしていたら、アニメーションに必要なレンダリングが完了するのに、かなりの時間がかかることになります。このため、納期があるときは、レンダリング時間を考えないと泣きを見ます。

しかし、必要な設定は外せないので、レンダリングに時間がかかるのはやむを得ないので、PCを沢山用意してレンダリングを平行して実行させて早く終わらす方法などとられます。

では、前回の続きのシーンを使って、物を動かすアニメーションの設定方法を説明します。

 

Step 1

前回のシーンで背景を「透過」にしていたはずなので、元の「背景(Sky)」に戻しておきます(プロパティ・エディターの「レンダー」タブの「シェーディング」パネルです)。それと、3Dビューを分割したままでしたら、1つにします。

fig2

 

Step 2

「寸法」パネルの「最終フレーム」の値を100、「フレームレート」の値を分かりやすいように、ここでは25fpsにします。従って、このアニメーションは4秒(=100/25)のアニメーションになります。

 

アニメーションの設定

Step 3

画面下に表示されているタイムラインエディターのヘッダーにも同じように「開始フレーム」と「終了フレーム」が表示されています。ここでも、これらの値を変更することができます。

タイムラインエディター

 

その隣りに、30と書かれているボックスがあります(上図ではの話。各自の環境では違う値かもしれません)。これは現在30フレーム目にいることを示しています。タイムラインエディターの上の部分にある緑色のラインが現在のフレーム位置を示しており、30フレーム目のところにあります。その上でマウス左ボタンを押しながら、マウスを左右に動かしてみてください。現在のフレームの位置を変更することができます。ここで現在の位置を変更するか、上図の30と表示されているボックス内に数値を入力するかで、現在のフレームを設定します。

pro3

 

なお、タイムライン・エディターの明るいグレーの部分がアニメーションの範囲で、暗いグレーの部分はアニメーションとして出力されない部分を示しています。

もう少し、タイムライン・エディターの使い方を説明しておきます。

マウス中ボタンを押しながら、マウスを左右に動かすと、今度は表示位置をずらすことができます。

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「Ctrl」キーとマウス中ボタンを押しながら、マウスを左右に動かすと表示領域のスケールを変えることができます。

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この他に、タイムライン・エディター上で「Home」キーを押すと、エディターの表示領域いっぱいにアニメーションの開始から最終フレームまでの区間を表示します。

 

Step 4

現在のフレームを1フレーム目にします。トミー君オブジェクトを選択して、「I」キーを押します。すると、「キーフレーム挿入メニュー(Insert Keyframe Menu)」が表示されるので、「位置(Location)」を選択します。

キーフレーム設定

 

これは現在のオブジェクトの位置をキーフレームとして記録する操作です。キーフレームを設定すると、タイムライン・エディター上に黄色のラインが表示されます。アニメーションは、キーフレームで設定した位置から位置へオブジェクトをBlenderが移動させて出力するためのものです(位置でキーフレームを設定した場合)。

fig6

 

Step 5

テンキーの「0」キーを押して、カメラビューにします。そして、現在のフレームを25にします。

fig7

 

Step 6

「G」キー、「X」キーで図のように左に移動させ、「I」キーで「位置」のキーフレームを設定します。

fig8

 

Step 7

現在のフレームを75フレーム目にして、「G」キー、「X」キーで反対側に移動させ、「I」キーで「位置」のキーフレームを設定します。

fig9

 

Step 8

現在のフレームを100フレーム目にして、最初にあった位置(1フレーム目と同じ位置)へ移動させて、「位置」のキーフレームを設定します(大体同じならいいです)。

fig10

 

Step 9

設定したアニメーションのプレビューを表示します。タイムライン・エディターのヘッダーにある三角形の矢印のうち、一番左側のボタンを押します。これは開始フレームへ現在のフレームを移動させるものです。ショートカットキーは「Shift」+「←」キーです。

fig11

 

Step 10

左から4番目の大きなボタン(順再生ボタン)を押すと、3Dビュー上でアニメーションのプレビューが表示されます。このショートカットキーは「Alt」+「A」キーです。プレビューの停止は、「Esc」キーか、再生ボタンを押した後に表示される停止ボタンで止まります。

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Step 11

設定したアニメーションを動画ファイルとして出力させます。プロパティ・エディターの「レンダー」タブを開き、「出力(Output)」パネルのフォルダボタンを押します。

出力先設定

 

Step 12

表示されたファイルブラウザで、出力先のフォルダを指定し、ファイル名を入力します。ここでは、自分の環境にあった適当な出力先を指定して、”test-anime”というファイル名にしておきます。拡張子は次のStepで設定する出力形式と合わせて、ファイル名に付けても構いませんし、なくてもBlenderが出力時に付けて出力してくれますが、その場合、指定したファイル名と拡張子の間にアニメーションの開始フレーム番号と終了フレーム番号が挿入されます。それが嫌ならば、ファイル名+拡張子で指定します。

fig13

 

Step 13

出力形式を設定します。「出力」パネルの左下のリストから、動画形式を選択します。ここでは、「H.264を指定します。

fig14

 

Step 14

「出力」パネルの下に「エンコーディング(Encoding)」パネルがあります。ここで動画の圧縮形式を指定します。ここでは、下図のようにフォーマットの部分に「MPEG-4」を指定します。

エンコーディング設定

 

Step 15

アニメーションのレンダリングは静止画とは別で、「Ctrl」+「F12」キーを押して実行します。指定したフォルダに動画ファイルが出力されます。

レンダリング結果

 

また、「出力」パネルの出力ファイル形式に動画の形式ではなく、静止画のファイル形式(jpeg、png等)を指定し、アニメーションのレンダリング(「Ctrl」+「F12」キー)を行うと、静止画の連番ファイルとして1フレームごとのレンダリング画像(静止画)が出力されます。

以上が、基本的なアニメーションの説明です。今回は「位置」のキーフレームしか使いませんでしたが、他に回転や拡大縮小などにもキーフレームを設定することができるので試してみてください。